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紙テーププログラムの編集



穴の開いた紙テープは、テレタイプで使用されたもので、古くは自動演奏楽器の(ピアノロール)があります。
紙テープは、情報の移動・保管媒体として安価な為、コンピュータに利用されました。
初期の電子計算機、ミニコン、NC工作機械で入出力に紙テープが使われていました。
NC工作機械で紙テープを使ったことがあるでしょうか?




テレタイプ:Teletype Model 19 (and Model 15) Demo












紙テープ上の1文字は 穴の有無で表現され、最初は1列に5穴でした。
その後 1列に6穴、7穴、8穴のものが出来、最終的には8穴が標準になりました。






5穴で1文字を表現します。 ( 小さい穴は紙送り用 )





5穴のボドー・コード




8穴








パソコンのメモ帳で文章を作成し修正するのは、用紙イメージで編集ができます。
しかし、紙テープに文章を書いたものを修正するにはどうしたら良いでしょうか?
最初から読んでいき、間違い部分を書き直す方法しかありません。



これと同様な作業を、紙テーププログラムでも行います。
簡単なプログラム例です。



処理:2つのデータを読んで、足した値を印刷する
 1つめデータを読んで Aに保存する
 2つめデータを読んで Bに保存する
 読み込んだ2つのデータを足して、Cに保存する
 加算結果を印刷する
 終了



----------------------------------------------------

これをプログラム(FORTRAN)にすると
  READ(5)A
  READ(5)B
  C = A + B
  WRITE(6)C
  STOP
のようになります。
( プログラムは、わかり易いよう幾つか省略してあります )





----------------------------------------------------

このプログラムを紙テープに書き出すと
READ(5)A■READ(5)B■C=A+B■WRITE(6)C■STOP■
■は改行コードです。




紙テープには穴が並んでいるだけなので
数字・英字・記号の「穴の有無」が分かれば、文字が読めます。
しかし全文字の穴情報を覚えるのは大変なので 0〜9迄の穴情報を覚え
命令の行毎に連番を付加すると、番号から行がわかります。

  READ(5)A    010
  READ(5)B    020
  C = A + B    030
  WRITE(6)C   040
  STOP       050

READ(5)A 010■READ(5)B 020■C=A+B 030■WRITE(6)C 040■STOP 050■

※改行コードの後に スペース(行送りの小穴のみ)が幾つか続くので、1行の判断は可。




FORTRAN プログラム










プログラムの作成方法は

 @プログラムを専用用紙に書く。
 Aプログラムを紙テープに出力する。
 Bプログラムをコンパイルする。(機械語に変換)
 Cコンパイルでエラーがあれば、紙テープを修正する。

 Dエラーが無くなる迄BCを繰り返す。

「Cの紙テープを修正する。」方法は、ハサミと糊で切り貼りして行います。











【 行の削除 】 削除する行番号を探し、ハサミで切ります。





削除する行の終わりを探し、ハサミで切ります。
そして、残ったテープを糊で繋ぎます。













【 行の挿入 】 挿入する場所を、行番号で探し、ハサミで切ります。







挿入する行(黒いテープ)をを糊で繋ぎます。





その後、テープワインダーで巻取ります。










紙テーププログラムの編集





※何回か継接ぎするとテープが傷んで読込みエラーが発生するので、新しい紙テープにコピーし保管します。




8単位 紙テープ 情報交換用紙テープ  水色(赤矢印)紙巾 25.4mm






※未使用の紙テープを2巻 コレクションしています。
さん孔テープ 黒(白矢印) 直径 約22.2cm  芯の内径60mm 長さ 275m





さん孔テープ 白(赤矢印) 直径 約22.2cm  芯の内径60mm 長さ 275m






パンチカードが使用できるようになると、データ、プログラムの管理が飛躍的に良くなりました。

パンチカードは80文字/枚で、上部に英数記号が印刷されます。
その為、穴情報を見る必要が無くなりました。

パンチカードは、読込んで磁気テープ(MT)に保管します。





IBM 029 CARD





1961 UNIVAC PaperTape








いくつかの紙テープを読んでいるシーン。




「科学忍者隊ガッチャマン」  南部博士がデータを読んでいます。





「DR. WHO & THE DALEKS」
ドクター・フーが大気汚染のデータを読んでいます。





「謎の円盤UFO」で紙テープを読んでいます。









「ウルトラセブン」 ウルトラ警備隊











NHK コンピュータ講座 フォートラン入門

昭和46年4月からNHK 教育TV(現在のEテレ)で
コンピュータ講座「フォートラン入門」が放送されました。




コンピュータは、 電電公社のオンラインサービス DEMOS FORTRAN での実習 TSS(Time Sharing System:時分割処理システム)サービス「DEMOS-E」
DEMOS(デモス) Dendenkosha Multiaccess Online System

端末は ASR-33で  入出力に紙テープが使用されました。




昭和46年4月〜9月  毎週日曜日 午後11:00〜12:00  のテキスト





昭和46年10月〜翌年3月  毎週土曜日 午後 6:00〜 7:00
(再放送) のテキスト









HITAC 10



日立のミニコン HITAC 10 で、FORTRANのプログラムを作成しました。




HITAC 10のメモリは標準で4KBです。
しかし4KBでは16個のスイッチを利用し機械語プログラムしかできないので、メモリを8KBに増設すればFORTRANが可能です。

紙テープのIPLを読み込んで、システムを立ち上げます。
さらに FORTRANコンパイラ(紙テープ)を読み込み、やっと使用できる状態になります。
FORTRANのシステムテープの読込みに1時間以上かかりました。
(テープ読込みエラーの場合、再度 最初から読込み)

※当時の電子計算機が 3〜4億円でした。
 それに対してミニコンは低価格で、 HITAC 10 は、約500万円




入出力装置はテレタイプ社 TTY端末 ASR-33
(ASR: Automatic Send-Receive)





ASR-33のキーボード・レイアウト













FACOM 230-30

FACOM 230シリーズはキャラクタマシンです。
可変長の単語を使用し、各単語を示すワードマークが付いています。
(ワードマークは、単語の境界を示するビット)

※現在は主記憶のアドレッシングが1バイト単位(バイトマシン)です。
 IBM System/360から、バイトマシンが業界標準になりました。





※現在の16進数表記は 10以降が A B C D E F ですが、
 FACOM 230-30は 10以降が S T U V W X でした。

2023 (10進) = 07E7 (16進 現在) = 07W7 (FACOM 230-30)

マシンデバッグでは、4個のローターリーSW(0〜9,S〜X)でセットします。


※コンピューター黎明期には幾つかの表記がありました。





FACOM 230-30も HITAC 10と同様に、電源ON後 紙テープのIPLを読み込みます。
IPLは 20cm前後の紙テープで紛失防止に、前後を糊貼りして輪状にしておきます。
※コンソールに 紙テープ読み取りヘッドが有ります。





紙テープ読取装置 FACOM 749A





コンソールタイプライター IBM model B STD electric typewriter

OSとのやり取りは、タイプライターです。
リボンの色は黒・赤で、COBOLプログラムから赤色のメッセージもタイプ可





次世代の 5シリーズ 230-15, 230-25, 230-35,230-45, 230-75はバイトマシンです。

FACOM 230-25、230-45Sは IPLのボタンを押すのみで大変便利になりました。








IPL(Initial Program Loader)は、コンピュータの電源投入時に最初にメモリに読み込まれる小さなプログラムです。
その後、核となるプログラムが読み込まれていきます。

パソコン関連で、ブートストラップ、ブートローダー、ブートなどでご存じかと思います。


黎明期のEDSACは機械的にパルスを発生させ、IPLのローディングをします。





その後、紙テープのIPL → ROMになりました。( BIOS → UFEI )
今では、電源を入ればパソコンが動作するので楽になりました。





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